
「かもめの玉子」

推しポイント!
ある年の冬。
東北を旅していた。
宿に着いて早々に女将が、旅の疲れを癒すものをごあいさつ代わりに、と差し出した。
それは卵のような代物だった。
しかし、卵よりも白く澄んでいた。
まるで、外にうんざりするほど積もる雪でも被っているのかと。
私は訝し気な顔で女将に尋ねた。
「なんですかな、これは。」
女将は私に顔を向けることなく即座に答えた。
「食べれば分かります。」
女将業で養われたであろう微笑みを添えて私を一瞥した後、部屋を出て行った。
私は首を左へ傾けながら、恐る恐る卵を齧る。
旨い。
ただひたすらに旨い。
そして中には黄金の餡があった。
この刻、始まったのだ。
私と、雪を纏った黄金餡との日々が。
PV
コメント

これってぼとさんの実体験?w
この刻、始まった、物語の続編楽しみにしてます!!ワクワク
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